小説・十分に発達した魔法は科学と区別がつかない

Chapter 04

見慣れたテキストエディタの画面にカーソルを置き、与えられた課題のキーワードである「言霊」について思いつくことを断片的に書き留めることにします。

  • 言霊。
  • 言葉が人に影響を与える作用。
  • 人の何に?
  • 精神的な何か。
  • 励ましの言葉は言霊か。
  • 逆に悪口は負の効果をもたらす言霊か。
  • 精神的効果を科学的に定式化し、定量評価。←困難
  • 言霊はあくまで精神にのみ作用する?
  • ……。
  • …。

さて、15分ほどつらつらと連想されたセンテンスを並べてみました。 私はどうやら言霊について次のような見解を抱いているようです。

発せられた言葉が意味解釈されることで人の精神に影響を与える作用を言霊という。主観的体験において言霊の効果は認められる。従って一概に迷信とは言い切れない。しかし、客観性を要請する科学においてこれを定量評価することはできず、科学的とはいえない。

要旨は決まったので、まとまった文章を書いてレポートとしての体裁を整えます。いつものように表紙と見出しの設定を終え、ファイルに保存しました。

シャワーでも浴びるか。そう思うやいなや、私はタオルを片手にバスルームへ向かいました。

―――

23時。自室。

寝るにはまだ少し早いと思い、昼間に買った例の本をまた開きました。 先ほど挟んだ革製の栞をそっと机の端に置き、§1と書かれたところから読み始めました。

表紙